アピストグラマという大変綺麗な熱帯魚をご存知でしょうか?
とても多くの種類がいて、バリエーションが豊富な事からマニアの間では人気の高い熱帯魚です。
今回はそんなアピストグラマの品種の中から[アピストグラマアガシジィ]をご紹介します。
アピストグラマアガシジィは鮮やかな赤や黄色に染まるヒレを持ち、[歌舞伎の隈取り]のようなアイラインが特徴の熱帯魚です。
その光沢のある隈取りは体やヒレにまで広がります。
歌舞伎の隈取りは、元々薄暗い芝居小屋で遠くの観客にはっきりと見てもらえるように顔の表情を誇張して描いたことが始まりです。
白く塗った顔に赤いラインが描かれますが、これは血管を誇張して表現していると言われています。
アピストグラマ アガシジィのいる水槽は、その[隈取り]が暗い水槽の中でも一際目を引き、フィンスプレッディングでの小競り合い等ははまるで有名は歌舞伎の演目[義経千本桜]を芝居小屋で見ているような気分にさせてくれます。
アピストの入門種
また、アピストグラマ アガシジィは飼育・繁殖が容易な事からアピストの入門種と言えます。
体が小さいため熱帯魚の混泳水槽で楽しむことができたりと、初心者にもおすすめの熱帯魚なのです。
シクリッドなので繁殖期等のオスは縄張り争いのために、性格が攻撃的になりますが、色彩豊かな背ビレを使ったフィンスプレッディングは普段以上の美しい輝きを見せてくれるようになります。(注:シクリッドは後述)
アピストグラマとは
そもそもアピストグラマとはどのような熱帯魚なのでしょうか?
アピストグラマはブラジルやペルー、コロンビアなど、南米のアマゾン川水系に生息している[アメリカン シクリッド]の淡水魚の仲間の総称で色彩豊かな背ビレが特徴です。
現在では約90種類が報告されています。
アマゾン川って想像が追いつかない程大きいんです。(行った事ないけど)
水深も深いところで100m以上だし、いくつもの国をまたいで気候も様々!
なので同じアピストグラマでも産地によって体色や模様、色彩のバリエーションも様々で、名前も違います。
アピストグラマは特徴的な大きなヒレと美しい色彩を持ちますが、それはオスのみの特徴です。
このあたりは[ダーウィンが来た]を見てると動物あるあるですね。これも多分アピールする為で、ヒレが大きく、綺麗な方がモテるんじゃないですか。(多分)
種類の多いアピストグラマですが、ほとんどの品種の体長は5cm~10cm程度です。
小型という事で[ドワーフシクリッド]という種類に分類されていて、その小型というところも古くから親しまれている理由の一つだと思います。
シクリッド
[中央アメリカ〜南アメリカ]、[マダガスカルを含むアフリカから中東、南アジア]まで分布する、汽水魚を含む熱帯魚です。
約1,300種以上確認されていて、熱帯魚のなかでは獰猛な種として知られていますので他の熱帯魚との混泳は注意を必要とします。
また稚魚を口の中で育てるなど、繁殖形態が特徴的です。
生態情報
【学名】
Apistogramma agassizii
【種目】
スズキ目シクリッド科アピストグラマ属
【分布】
ブラジル_アマゾン川 / ペルー_ソリモエンス川
【サイズ】
8cm
【寿命】
2年〜3年
飼育条件
[温度]
23~26度
[水質]
弱酸性~中性
【水質について_詳しくはこちら】
[ 餌 ]
人工飼料、アカムシ
[注意点]
アピストグラマ アガシジィは小型魚なので、30cmほどの小型の水槽でも飼育することができます。
しかし、アピストグラマ アガシジィは縄張り意識が強く喧嘩をしやすい側面も持ちますので、混泳させたい場合は水草水槽のような隠れる場所を用意してあげましょう。
また、飛び出しによる死亡事故防止のためにもフタを用意しておきましょう。
混泳
アピストグラマ アガシジィは縄張り意識が強く、特に同種同士では激しく争うので混泳には少し注意が必要です。
同種同士では基本的にオス・メスのペアで飼育した方が良く、その場合でも水草やシェルターで隠れられる場所を多く作る必要があります。
他種に関しても、遊泳層が重なる魚種とは相性が悪い傾向にあります。
特に、近縁種であるシクリッド類とは喧嘩しやすいので混泳は避けた方が無難です。
ネオンテトラなど小型のカラシンや下層エリアでもコリドラス、オトシンクルスなどは混泳の相性は悪くありません。
ただし混泳させる場合は慎重に様子を伺い、必要に応じて隔離する必要があります。
繁殖
アピストグラマ アガシジィは狭い場所に産卵するケーブスポウナーという種類なので、産卵床となるシェルターなどを入れておくとそのシェルターや流木等の陰に産卵します。
基本的には産卵後メスが積極的に子育てを行います。
繁殖用の水槽を用意する
アピストグラマ アガシジィの繁殖は、まずは繁殖に適した水質の準備が大切です。
アピストグラマ アガシジィの故郷である南米の川の水質に近い弱酸性の軟水を用意しましょう。
ph5以下の超軟水が繁殖には適しているそうです。
ペアリング
このような環境でしばらく飼育してメスをその気にさせると、発情したメスは積極的にオスにアピールします。
ペアが形成されて産卵した後は、卵のふ化から稚魚の世話までメスが行ってくれるので余計な手出しをしないで静観しましょう。
アピストグラマは子育てをペアで行いますが、時折メスがオスを排除しようと追い掛け回すケースがあります。
そのような場合は、メスが落ち着いて子育てができるように他の魚は隔離してください。
誕生した稚魚用の餌には、ブラインシュリンプを与えると良いでしょう。