ディスカスという熱帯魚をご存知でしょうか?
ディスカスは色彩、模様共に豊富な事で熱烈なファンが多い反面、飼育が難しい事でマニア向けの熱帯魚といえるでしょう。
今回はそんなマニアを惹きつける熱帯魚、ディスカスの歴史や品種、飼育方法など人となりをご紹介させていただきます。
ディスカスってどんな熱帯魚?
まずはディスカスという熱帯魚をざっくり説明させてもらいますね。
ディスカスは丸くて平べったくて魚です。
カラフルで映画[AVATAR/アバター]のナヴィ族の顔柄のような模様の入った熱帯魚で、しかも[熱帯魚の王様]と呼ばれています。
ディスカスの柄ってインディアンっぽくてカッコいいですね。
そういえば[AVATAR/アバター]の元ネタの映画[ダンス・ウィズ・ウルブズ]もインディアンの話でした。
特に体色は、青や赤の品種、オレンジやターコイズブルーやコバルトブルーなんてのもいます。
さらには独特のスポットやストライプが入る品種など様々なバリエーションがあります。
出身地は南米のアマゾンで、水没したジャングルの朽木や水草の間で群れをなして生息しているシクリッドの仲間です。(注:シクリッドの詳細は後述します。)
ジャングルの枯葉からタンニンがゴリゴリに滲み出たブラックウォーターが故郷の環境です。
この辺りの情報は飼育する際に参考になるんですよね。
ディスカスは1840年にヨハン・ヤコブ・ヘッケルさんという魚類学者によって正式な新種発表がされました。
ヘッケルさんはこの綺麗な謎の魚がすっごい丸いという事で[円盤]という意味から[ディスカス]と命名したようです。
この時発表されたディスカスがヘッケルさんの名前がついた[ヘッケルディスカス]なのです。
原種ディスカス
ディスカスの原種は全部で4種います。
[ヘッケルディスカス]、[グリーンディスカス]、[ブラウンディスカス]、[ブルーディスカス]の4種です。
同じアマゾン川に生息しているディスカスですが、アマゾン川って日本に住んでいると想像が追いつかないほどでっかい川なんです。
水深も50m以上あったり、乾季と雨季で何十メートルも変化したり!国もいくつもまたいでるし。気候も変わってくるし。
だから原種ディスカスもこんなに違いが出てくるんでしょうねー。
それではディスカスはどのような品種がいるのか見ていきたいと思います。
ヘッケルディスカス
ヘッケルディスカスはヨハン・ヤコブ・ヘッケルさんが一番最初に発見した原種ディスカスです。
ヘッケルバンドと呼ばれる黒い帯が特徴です。
こんな綺麗な魚が現地で普通に泳いでいたら、ビックリしたでしょうね。
[ヘッケルディスカスについてはこちら]
グリーンディスカス
グリーンディスカスも原種ディスカスの一つです。
体は黄色だけどグリーンディスカス。
そう模様が青緑色なのでグリーンディスカスと呼ばれます。
赤いドット模様が綺麗にでる個体が好まれます。
[グリーンディスカスについてはこちら]
ブラウンディスカス
ブラウンディスカスも原種ディスカスの一つです。
オレンジ色が綺麗な熱帯魚です。
このオレンジ色はアマゾン川の夕日が映り込んだんでしょうね。
なんてロマンチックなディスカスなんでしょう。
[ブラウンディスカスについてはこちら]
ブルーディスカス
ブルーディスカスも原種ディスカスです。
青い模様が神秘的な熱帯魚で、このディスカスが一番アバターしてますね。
[ブルーディスカスについてはこちら]
ブルーダイアモンドディスカス
ブルーダイアモンドディスカスは真っ青なディスカスです。
青磁のような色彩はまさに泳ぐ芸術品です。
ピジョンブラッドディスカス
ピジョンブラッドディスカスは[ピジョンブラッド(ハトの血)]の怖い名前とは裏腹に優しい朱色が印象的な綺麗なディスカスです。
焼き物に例えると[しん窯]の湯呑み[朱寿文字仙茶碗]のような印象です。
有田焼[しん窯]は1830年天保年間(徳川第11代将軍 家斉の時代)に、鍋島藩の藩窯として築窯された有田焼の窯元です。
レッドロイヤルブルーディスカス
レッドロイヤルブルーディスカスは明るいブルーと赤のコントラストが鮮やかなディスカスです。
これはもうキカイダーのカラーリングです。
レッドターコイズディスカス
レッドターコイズディスカスは赤の模様が鮮やかなディスカスです。
赤珊瑚みたいな模様ですね。
もっと鮮やかな赤色をした個体が赤珊瑚の最高級品[血赤珊瑚]の名前をとって[血赤珊瑚レッドターコイズディスカス]って名前になりそう。
熱帯魚あるある、[熱帯魚、ちょっと色が鮮やかになるだけで新しい名前つけがち]。
ディスカスの飼育は難しい?
ディスカスは水質の変化に敏感で初心者には少し飼育が難しい熱帯魚です。
性格も神経質で、慣れない環境では体の発色が悪くなり水槽の奥に隠れてしまって出てきません。
自然界でも群れで枯れ木の奥に隠れて泳いでいます。
このような理由から、ディスカスの発色が悪くなってきた時はストレスがかかっている可能性がありますので、ストレスのかからない環境を用意してあげましょう。
対策は故郷に想いを馳せる
ディスカスの故郷は南米のアマゾンです。
そのような環境をイメージすると少しはストレス解消に役立つかも知れません。
アマゾン川の水質は沈んだ枯葉からタンニンが滲み出まくった超絶ブラックウォーターです。
ブラックウォーターは見た目が気になるという方も水質の[弱酸性]は最低条件です。
また、水草や朽木などの隠れる場所も用意してあげると落ち着きます。
ジャングルっぽく少し暗くすると落ち着きます。
部屋の照明を消して水槽より部屋を暗くすると光の反射で中からは外が見えないので落ち着きます。
群泳をさすと落ち着きます。
シクリッドとは
[中央アメリカ〜南アメリカ]、[マダガスカルを含むアフリカから中東、南アジア]まで分布する、汽水魚を含む熱帯魚の種類です。
約1,300種以上確認されていて、熱帯魚のなかでは獰猛な種として知られていますので他の熱帯魚との混泳は注意を必要とします。
また稚魚を口の中で育てるなど、繁殖形態が特徴的です。
生態情報
【種目】
魚類 スズキ目 ベラ亜目 シクリッド科 キクラソマ亜科 へロス族 シムフィソドン属
【分布】
アマゾン川
【サイズ】
約15cm
【寿命】
5〜10年
飼育条件
[温度] 26度~32度
[水質] 弱酸性
【水質について_詳しくはこちら】
[ 餌 ] 人工餌、ディスカスハンバーグ
[注意点]
水温の急変や水質の悪化などによるストレスで病気になってしまうことがあります。
治療方法として水温を少し上げて、市販の薬を投与してみてください。
混泳
シクリッドの仲間ですので、水温が暖かくなる繁殖期になると縄張り争いのために、普段のおとなしさからは想像がつかないほど攻撃的になります。
小型の熱帯魚との混泳には気を使いましょう。
口に入らない程度の小型魚との混泳は可能です。
水草や流木など隠れる場所があるとよいでしょう。
また、低層のコリドラスとの相性はよいですが、同じ低層魚でもプレコはディスカスの体表を舐め回すので混泳には不向きです。
繁殖
ディスカスの原産地のアマゾン川はブラックウォーターです。
川底に堆積している枯葉からタンニンがしみ出して、極めて濁った茶色に着色されて、酸性河川となっています。
そのためディスカスは弱酸性の水質を好みます。
また適正な水温は26~32度前後です。
繁殖をさせるタイミングでpHをさらに低くすると成功しやすいといわれています。
ディスカスはペアで子育てをする熱帯魚
ディスカスは生後1年ぐらいから成熟し産卵するようです。
水槽の壁面やアマゾンソードなどの水草に100~200個程度の卵を産みつけていきます。卵は数日で孵化し、さらに数日経つと稚魚が泳ぎ始めます。
後は親魚が体表から[ディスカスミルク]と呼ばれる粘液を分泌し、稚魚に与えるので、お父さんとお母さんに子育ては任せましょう。