アロワナやガーパイクに代表される生きた化石と呼ばれる魚[古代魚]。
アクアショップでも熱帯魚コーナーの一番奥にボス的なオーラを放ち泳いでいますよね。
古代魚は熱帯魚飼育をしている人なら一度は飼ってみたいと考えると思いますが、水槽のサイズなどを鑑みると、環境を整えるのが中々難しいですよね。
それでは今回はそんな[古代魚]の世界を覗いてみましょう。
でもそもそも古代魚って何なの?
意外な事に[古代魚]という言葉にははっきりとした定義はないようです。
シーラカンスのように古生代から絶滅せずに現在まで生き残ってきた魚類の総称として使われ、[大昔から姿が変わっていないかっこいい魚]という意味で使われています。
特徴としては[分布域と個体数が限られていること]、[大型の肉食魚であること]、[空気呼吸ができること]、[かっこいいこと]などが挙げられます。
古代魚といえばシーラカンス!
古代魚といえばやはりシーラカンスです。
アクアショップで売っているアロワナやガーパイク、ポリプテルスももちろんかっこいい魚達ですが、これらの魚が熱帯魚のエリート的な存在だとすると、その上のランクにピラルクーがいて、ラスボスとしてシーラカンスが君臨します。[注:個人の感想です。]
少し前までシーラカンスの存在は化石でしか確認できない、恐竜と一緒に絶滅したと思われていた魚でした。
そんな化石上の生き物を1938年に南アフリカのチャルナム川河口の町[イーストロンドン]のトロール船が捕獲したのです。
南アフリカのイーストロンドン博物館の学芸員ラティマーさんが標本製作の為に地元の漁港であるチャラムナ川河口付近で水揚げされた魚の中から青い鱗のシーラカンスを見つけたと言われています。
体長1.5m/体重58kgでした。
それはもう世界的なニュースとして伝わったそうです。
シーラカンスの凄さ
シーラカンスが絶滅したと言われる7,000万年前は中生代の白亜紀といわれる時代の最後です。
恐竜が跋扈(ばっこ)するリアルジュラシックワールドです。
まず、古生代の初めの[カンブリア紀]に様々な生物が生まれます。その状態をカンブリア爆発と呼びます。
カンブリア紀に生まれた生物の中から魚類が生まれたのが古生代の[デボン紀]といわれる時代。
そこからその次の次の時代[ペルム紀]の最後に地球では一度、大規模な火山活動により大量絶滅がおきます。
この時に全ての生き物の90%〜95%が絶滅したといわれているそうです。
仕事中パソコンが落ちて保存してなかった状態ですね。頭真っ白!
でも次の[三畳紀]に入り、頑張って一から新しい生物達が栄え始めます。
それが恐竜です。
その後しばらく安定した恐竜の時代が続きますが、またまた大量絶滅がおきます。それがシーラカンスが滅びたんじゃないかといわれている約7,000万年前の白亜紀の終わり。
そんな昔から姿が変わらないなんて、どこか恐竜っぽいいでたちも納得ですね。
シーラカンスの体
シーラカンスのロマンは体の構造にもあります。
シーラカンスの生きた時代は様々な魚類が誕生して、陸上に生息エリアを広げていった時代です。
魚類から両生類へと進化していくところ。
進化の過程で魚類のヒレが両生類の手足になったと言われていますが、シーラカンスのヒレにはその特徴が現れています。
このように外見や働きは異なっていても起源が同一である器官を相同器官というそうです。
代表的な古代魚
ピラルクー
まず初めはやっぱりピラルクーから紹介します。
ピラルクーは[アロワナ目・アロワナ亜目・アロワナ科・ヘテロティス亜科・アラパイマ属]の熱帯魚で学名は[Arapaima gigas]。
全身が硬い鱗に覆われた、最大で体長5m以上になる世界最大の淡水魚の一つで、鱗のフチが赤く色づき、泳ぐ姿はまるで龍のようでとってもかっこいい古代魚です。
名前の由来は紅い鱗
日本ではピラルクーの名前で浸透していますが、これは現地の言葉トゥピ語で[Pira]が魚、[Urucu]は植物の名前のようです。
[Urucu]は化粧などに使用する紅い顔料を採取する植物で、合わせて[Pirarucu]となりますが、これは[紅い魚]といった意味合いがあるようです。
外国では学名からアラパイマと呼ばれることもあります。
ピラルクの生態
ピラルクーの生息地は南米のアマゾン川で、沼地や川の流れのゆるい所に生息しています。
熱帯の淡水域では水の温度が高く酸欠状態がおこりやすいのですが古代魚は空気呼吸ができるのでへっちゃらです。
[赤い魚]という意味の名前からも分かるように成長すると体の後半部と尾びれが紅く色づきます。
食性は肉食性で、口に入る大きさの魚などを丸呑みにして食べます。
寿命は15年程と言われています。
現在はワシントン条約によって国際取引が規制されています。
アロワナ
アロワナは観賞魚として大変人気の高い古代魚です。
性格は温和で綺麗にならぶ大きな鱗と、大きく開く上向きについた口が特徴です。
アロワナとかピラルクの鱗って日本の伝統模様[青海波文様(せいがいはもんよう)]みたいで渋いですよね。
日本人が問答無用で惹きつけられるのはDNAに訴えかけられているんじゃないかと思います。
話を戻しまして、
アロワナは水上へ飛び跳ねて水面より上にいる虫にとびつき捕食するので、飼育下では飛び出しによる事故などが多発します。
また、アロワナはその優雅な泳ぎ方から中国では[龍魚]と呼ばれ幸運を呼ぶ魚とされています。
確か中国って龍が権力の象徴なんですよね。
なので、中国の金持ちはアロワナを飼っているイメージですし、サッカー中国代表のエンブレムにも龍が描かれていますし、闘将!!拉麺男(たたかえラーメンマン)の衣装にも龍が巻きついています。
アロワナの種類は2属
アロワナは[オステオグロッスム属]と[スクレロパゲス属]の2属からなります。
[オステオグロッスム属]は[シルバーアロワナ]と[ブラックアロワナ]の細長い体型のモデル系アロワナ!
[スクレロパゲス属]は[アジアアロワナ]と[ノーザンバラムンディ]、[スポテッドバラムンディ]の体高があるムキムキ系アロワナが在籍します。
それではアロワナの品種別に紹介します。
シルバーアロワナ/オステオグロッスム属
シルバーアロワナはアロワナの中では流通量も多く、最も一般的なアロワナです。
生息地はアマゾン川で体長は1mほどに成長し、アロワナは中でも最大の種類です。
若魚の時は名前の通り綺麗な白銀色をした体色ですが、成長すると鱗やヒレの縁がうっすらとピンク色に染まり、可愛いカラーリングになります。
ブラックアロワナ/オステオグロッスム属
ブラックアロワナは南米のネグロ川出身のアロワナです。
ブラックアロワナの名前は幼魚時代の黒い体から来ています。
成長すると少しずつ黒い色は薄くなり、ヒレのや鱗のフチがオレンジに染まるスタイリッシュなカラーリングになるアロワナです。
体長は最大でも1mほどで、シルバーアロワナよりも一回り小さいイメージです。
アジアアロワナ/[スクレロパゲス属]
アジアアロワナはアロワナの中では一番高価で色彩も多彩で大変人気の種類です。
色彩により呼び方が変わるのも特徴で、金色の体色を持つ[金龍]、全身が真っ赤に発色する[紅龍]、黄色やオレンジ色に発色する[黄龍]、銀色の体色でピンクや青緑の模様が入る[青龍]などです。
体長は90cmほどですが[スクレロパゲス属]は体高があるので迫力満点です。
ノーザンバラムンディ/[スクレロパゲス属]
ノーザンバラムンディも[スクレロパゲス属]のアロワナです。
パプア・ニューギニアやオーストラリア北部の河川に生息する、体高が高くずんぐりした体型の少し小柄なアロワナです。
体色は赤みがかった褐色で、金属的な光沢を帯び、鱗にピンク色の斑点が入ります。
体長は60cmほどです。
ガーパイク
ワニのような見た目の2mほどの古代魚です。
その恐そうな見た目とは裏腹に温和な性格で、主に魚やエビ・カニなどの甲殻類を食べます。
アメリカ、メキシコ、ニカラグア、コスタリカの湖沼や大きな河川の下流域などの流れの穏やかな場所に生息し、じーっと動かないで水中に止まっているようにして過ごしています。
これは止まっていることで水に浮かぶ倒木に擬態して、向こうから近づいてくる魚をガブっと行くためです。
また天敵のワニが近づいてきた時も水中でじーっとしてワニが何処かへ行くのを待ちます。
淡水と海水どちらでも生きていけます。
ポリプテルス
ポリプテルスとは[多くのひれ]を意味する言葉で、背びれが10枚前後あるのが特徴のザイール、スーダン、セネガルなどの熱帯アフリカに分布する古代魚です。
昆虫、甲殻類、小魚、カエルなどを捕食します。
ハイギョ
ハイギョは一番シーラカンスに近い古代魚らしい古代魚です。
シーラカンスの項でも説明しましたが、肉鰭類(にくきるい)と呼ばれるヒレが手足のようになっていて、動かすための筋肉がついているので、まさに両生類一歩手前の進化の途中なのがこのハイギョなのです。
大昔の恐竜の時代に魚類が陸上にあがり両生類になる、その進化の中間に位置する存在です。
肉鰭類は現在シーラカンスとハイギョのみが持ちます。
まとめ
古代魚が「生きた化石」と呼ばれるわけがご理解いただけたでしょうか。
人類(アウストラロピテクス)がこの地球に誕生したのが約400万年前、そこから今の人類の姿に進化しました。しかし古代魚は7,000万年以上前から同じ姿で生きてきたのです。
古代魚ってロマンの塊ですね。